「日本語教師として働いてみたいけれど、いきなり常勤で働くのはちょっと不安……」
「日本語教師の非常勤講師って、実際にはどんな働き方なんだろう?」
そんな方もいるのではないでしょうか。
私自身、日本語学校では常勤講師として働いた経験はなく、ずっと非常勤講師として働いてきました。
最初は週2回、8コマの授業からスタートでした。
その後、午前だけ、午後だけ、午前・午後を通して授業を担当するなど、時期によって働き方も変わりました。
私が非常勤講師を選んだのには理由があります。
日本語教師以外の仕事も続けたかったことです。
そして、何より、当時は日本語教師としてまだ経験が浅く、いきなり常勤で働く自信がなかったことです。
最初は「非常勤で少しずつ経験を積んで、いつか常勤になれたらいいな」と思っていました。
ところが、私の日本語教師人生は思っていた方向とは少し違うものになっていきました。
この記事では、私自身の経験をもとに、日本語教師の非常勤講師がどんな働き方なのか、メリットや大変なこと、収入を考えるときのポイントなどを紹介します。
日本語教師の「非常勤講師」とは?
日本語学校の日本語教師には、大きく分けて常勤講師と非常勤講師という働き方があります。
簡単にいうと、非常勤講師は、担当する授業のコマ数や勤務日数を調整しながら働く働き方です。
もちろん、学校によって勤務条件や仕事内容は違います。
私の場合は、日本語学校で授業を担当することが中心で、ほかにも採点、宿題チェック、出席確認、教材作成、テスト監督、学校行事などを経験しました。
一方で、成績処理や学生との正式な面談、生活相談などは担当していませんでした。
「非常勤講師だから、この仕事を必ずする」という明確な決まりがあるわけではなく、学校によって担当する範囲は変わります。
求人を見るときには、授業以外にどんな仕事が含まれているのかも確認しておくことが大切です。
常勤講師と非常勤講師の違い
以下に常勤講師と非常勤講師の違いを表でまとめてみました。
これはあくまで一般的な傾向なので、学校によって仕事内容や勤務条件は大きく異なります。
| 非常勤講師 | 常勤講師 | |
| 主な仕事 | 授業を担当することが中心 | 授業+学校運営に関わる仕事 |
| 勤務日数 | 週数日など、調整できる場合がある | 基本的に週5日など、決まった勤務 |
| 授業数 | 担当するコマ数を調整できる場合がある | 担当コマ数が比較的多い |
| 授業準備 | 教案作成・教材準備など | 教案作成・教材準備など |
| 授業以外の仕事 | 学校によって異なる | 学生対応、成績管理、会議など幅広い場合がある |
| 学生との関わり | 授業を中心とした関わり | 授業以外でも継続的に関わることが多い |
| 他の仕事との両立 | しやすい | 非常勤より難しい場合がある |
| 働き方の特徴 | 自分の生活に合わせやすい | 学校の業務により深く関わる |
| 収入等 | 担当コマ数や長期休暇などによって変動しやすい | 月給制など、安定しやすい傾向 |
| 向いている働き方 | 他の仕事・学業などと両立したい人 | 日本語教育を中心に働きたい人 |
私自身は日本語学校では非常勤講師として働いていたため、常勤講師の具体的な仕事内容については、実体験としてお伝えすることができません。
そのため、この記事では、私が実際に経験した「非常勤講師」の働き方を中心に紹介していきます。
私が非常勤講師を選んだ理由
私が最初から常勤講師を目指さなかったのには、いくつか理由があります。
一つは、日本語教師以外の仕事も続けたかったからです。
日本語教師になったからといって、それまでやっていた仕事を全部やめて、日本語教師一本にするつもりではありませんでした。
もう一つは、自分の授業力にまだ自信がなかったからです。
日本語教師養成講座を修了して、実際に働き始める際、もちろん「頑張ろう!」という気持ちはありました。
でも、教案を一つ作るのにも本当に時間がかかっていました。
最初は、1回の授業の教案を作るために何日もかかることもありました。
そんな状態で、いきなり常勤として働くことには不安がありました。
そこで、「まずは非常勤で働いて、少しずつ経験を積もう」と考えました。
授業をして、教案を作って、失敗して、反省して、また次の授業をする。
そうやって経験を積んで、教案や教材も少しずつ増やしていく。
そして、いつか経験がたまったら、その先に常勤講師として働ける未来があればいいな。
当時はそんなふうに考えていました。
実際にはどのくらい働いていた?
私が最初に日本語学校で働き始めたときは、週2回、8コマからスタートしました。
1コマは45分です。
午前だけ授業を担当して午後は別の仕事をする、という働き方もありましたし、午前・午後を通して8コマ担当することもありました。
「非常勤=1日に1〜2コマだけ」というわけではありません。
学校や自分の希望によっては、まとまったコマ数を担当することもあります。
私の場合は、日本語教師の仕事がない日は別の仕事をしていました。
そのため、私にとって非常勤という働き方は、複数の仕事を組み合わせながら働くための方法でもありました。
非常勤講師の1日はどんな感じ?
実際に非常勤講師として働くときの1日を紹介します。
例えば、半日授業を担当するとします。
私の場合、授業開始の直前に学校へ行くのではなく、授業前に1時間ほど学校に滞在していました。
授業の準備をしたり、その日の学生の状況を確認したりします。
そして授業を行います。
授業が終わった後も、すぐに帰るわけではありません。
授業後は1時間半ほど学校に残ることもありました。
その日の授業について確認したり、必要な作業をしたりします。
ただし、教案作成などの授業準備の多くは、勤務時間外に自宅で行っていました。
ここは非常勤講師として働くうえで、ぜひ知っておいてほしいところです。
「授業時間だけ働けばいい」というわけではありません。
特に新人の頃は、授業そのものより、授業の準備に時間がかかることがあります。
非常勤講師の収入はどう考える?
非常勤講師の収入は、学校によって条件がかなり違います。
「1コマ○円」という形で求人が出ていることも多いですが、金額だけを見て判断するのはおすすめしません。
確認したいのは、例えば次のようなことです。
- 1コマ何分なのか
- 1コマあたりいくらなのか
- 授業準備の時間は給与に含まれるのか
- 採点などの授業外業務には給与が出るのか
- 交通費は支給されるのか
- 担当できるコマ数はどのくらいか
- 長期休暇中の授業はどうなるのか
特に気をつけたいのが、「1コマの金額」と「実際に仕事にかかる時間」は別ということです。
例えば、45分の授業を担当するために、教案作成や教材準備に時間がかかることがあります。
新人の頃の私は、まさにそうでした。
最初は一つの教案を作るために何日もかかっていたので、「45分の授業だから、45分働けば終わり」という感覚ではありませんでした。
そのため、非常勤講師の求人を見るときは、1コマの金額だけではなく、準備や授業以外の仕事まで含めて、自分にとって納得できる条件なのかを見ることが大切だと思います。
非常勤講師のメリット
私が実際に非常勤講師として働いてきて感じたメリットを紹介します。
他の仕事と両立しやすい
私にとって一番大きかったのは、これです。
日本語教師をしながら、ほかの仕事も続けることができました。
「日本語教師だけ」という働き方ではなく、複数の仕事や活動を組み合わせることができたのは、私にとって大きなメリットでした。
少ないコマ数から経験を積める
いきなりたくさんの授業を担当することに不安がある人にとっては、非常勤から始めるという選択肢もあります。
まず少ないコマ数から始めて、仕事に慣れてきたら担当を増やす。
もちろん、実際にどのくらいのコマ数から働けるかは学校によります。
日本語教師としての経験を積める
日本語教師は、実際に授業をしてみないとわからないことがたくさんあります。
学生の反応を見たり、教案を改善したり、ほかの先生からアドバイスをいただいたり、そうした経験を少しずつ積んでいけます。
私自身、最初は教案作成にものすごく時間がかかりましたが、経験を積むにつれて、1〜2時間程度で作れるようになっていきました。
自分の生活に合わせやすい
勤務日数や担当コマ数を調整できる場合、家庭の事情やほかの仕事、学業などと組み合わせやすいのもメリットです。
ただし、「どのくらい自由に調整できるか」は学校によって違います。
「非常勤だから好きな曜日だけ働ける」とは限らないので、求人や面接の際に確認してみるのがおすすめです。
非常勤講師は大変?実際に働いて感じたこと
もちろん、メリットばかりではありません。
私自身が大変だと感じたこともあります。
教案作成に時間がかかる
これは先ほども書きましたが、特に新人の頃は大変でした。
最初は一つの授業の教案を作るだけで何日もかかる。
「これで本当に学生に伝わるのかな?」
「もっと準備した方がいいのかな?」
と考えているうちに、どんどん時間が過ぎていきます。
でも、これは経験とともに変わっていきました。
以前の教案を参考にしたり、教材を再利用したりできるようになり、少しずつ効率よく準備できるようになりました。
学校にいる時間が短い
非常勤講師の場合、常勤講師より学校にいる時間が短くなります。
そのため、自分が学校にいなかった時間に何があったのか、十分に把握できないことがあります。
私は、引き継ぎ帳などをしっかり読むことを大切にしていました。
「自分の授業だけできればいい」ではなく、自分が担当しない別の曜日に、学生やクラスで何があったのかを把握しておくことも大切です。
情報共有が難しいこともある
学生の様子をすべて把握するのが難しい場合があるので、ほかの先生との情報共有も重要です。
非常勤だからこそ、わからないことをそのままにせず、必要な情報を確認することが大切だと感じています。
非常勤だからこそ、経験を積むことができた
私自身は、最初から常勤になる自信がなかったからこそ、非常勤からスタートしました。
今振り返ると、それでよかったと思っています。
最初の頃は、授業をするだけでも精一杯でした。
教案を作るのにも時間がかかる。
授業中に学生から予想外の質問が出て焦る。
クラス内のレベル差に悩む。
授業が終わってから、「あそこはもっとこうすればよかった」と反省する。
そんなことの繰り返しでした。
でも、そうやって一つ一つ経験していくうちに、少しずつできることが増えていきました。
以前作った教案が次の授業で役立つ。
以前うまくいかなかった活動を改善して、今度はうまくいく。
学生の反応を見て、「ここはこう説明した方がいい」と判断できるようになる。
そうした小さな積み重ねが、日本語教師としての自信につながっていきました。
「非常勤から常勤へ」と考えていた私の、その後
実は、私はもともと、「非常勤で経験を積む → いつか常勤になる」という道を考えていました。
ところが、そうはなりませんでした。
私の場合、十分に経験を積む前にコロナ禍が始まり、日本語学校の仕事を失うことになりました。
そこから、行政の生活者向け日本語教育に関わる仕事を経験し、これまで知らなかった「生活者の日本語教育」や「多文化共生」という分野を知りました。
その後、公立学校で日本語を教える機会にも恵まれ、さらに地域日本語教室など、さまざまな場所で日本語教育に関わるようになりました。
そして、コロナが落ち着いてからは、コロナ禍前に働いていた日本語学校から声をかけていただき、再び非常勤講師として働き始めました。
最初は「いつか常勤になるための途中」と思っていた非常勤という働き方でしたが、今の私にとっては、少し意味が変わっています。
非常勤だからこそ、ほかにやりたいことにも挑戦できる。
日本語教師を続けながら、別の仕事をしたり、新しい分野を経験したり、大学で学んだりする。
そんな働き方も、自分には合っているのだと思うようになりました。
私の日本語教師人生がどのように変わっていったのかについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

こんな人には「非常勤」という働き方もおすすめ
私自身の経験から考えると、非常勤講師という働き方は、例えばこんな方に向いていると思います。
- 日本語教師としてまず経験を積みたい
- いきなり常勤で働くことに不安がある
- 他の仕事も続けたい
- 学業と両立したい
- 家庭や自分の時間も大切にしたい
- 日本語教育のいろいろな分野を経験してみたい
- 自分に合った働き方を探したい
特に、「日本語教師になったら、日本語教師一本で働かなければいけない」と思っている方には、ぜひ知っておいてほしい働き方です。
日本語教師として働きながら、別の仕事をする。
別の仕事をしながら、日本語教師として働く。
そんな働き方もあります。
非常勤講師の求人を見るときに確認したいこと
最後に、これから非常勤講師の求人を探す方に、確認しておきたいポイントをまとめておきます。
授業について
- 1コマ何分?
- 1日に何コマ担当する?
- 週何日から働ける?
- 担当する学生のレベルは?
- どんな授業を担当する?
- 使用する教材は?
授業準備について
- 教案は自分で作る?
- 学校指定の教案がある?
- 教材は学校が用意する?
- 教材作成はある?
- 授業準備の時間は勤務時間に含まれる?
給与について
- 1コマいくら?
- 授業以外の業務にも給与が出る?
- 交通費は支給される?
- 長期休暇中の給与・授業はどうなる?
その他
- 採点や宿題チェックはある?
- テスト監督はある?
- 学校行事への参加はある?
- 教師同士の打ち合わせはある?
- 社会保険、雇用保険、有給休暇などの条件はどうなっている?
「1コマ○円」という数字だけを見るのではなく、実際にどのくらいの時間と仕事が必要なのかまで確認することをおすすめします。
まとめ
日本語教師の非常勤講師は、担当する授業のコマ数や勤務日数を調整しながら働くことができる働き方です。
私自身は、最初は週2回、8コマから始めました。
日本語教師以外の仕事も続けたかったこと、そして新人の頃はいきなり常勤で働く自信がなかったことから、非常勤講師を選びました。
最初は教案作成に何日もかかることもありました。
でも、授業を重ねるうちに少しずつ経験が増え、教案や教材も自分の財産として積み重なっていきました。
非常勤には、他の仕事と両立しやすい、少ないコマ数から経験を積めるなどのメリットがあります。
一方で、授業準備が勤務時間外になることがある、学校にいる時間が短く情報共有が難しいことがあるなど、大変な部分もあります。
そして、私自身の日本語教師人生は、「非常勤から常勤へ」という当初の予定とは違う方向に進みました。
その中で気づいたのは、非常勤講師は、必ずしも「常勤になるまでの途中」ではないということです。
ほかの仕事と組み合わせたり、学びながら働いたり、さまざまな日本語教育の現場を経験したり。
自分のライフスタイルや将来やりたいことに合わせて、非常勤という働き方を選ぶこともできます。
そして、これまでの経験を通して、日本語教師には日本語学校以外にもさまざまな働く場所があることを知りました。
「日本語教師になったら、どこで働けるんだろう?」
そう思った方は、以下の記事で、日本語教師が実際に働けるさまざまな場所について紹介していますので、よかったら見てみてください。


