小中学校で日本語教師として働くには?仕事内容と実際に働いて感じたこと

日本語教師の働く場所というと、日本語学校を思い浮かべる方が多いかもしれません。

でも、日本語教師が活躍できる場所は、日本語学校だけではありません。

日本の小中学校でも、日本語指導が必要な子どもたちに日本語を教える仕事があります。

私も実際に、小中学校で日本語を教えた経験があります。

教えていたのは、日本語がほとんどわからない子どもから、日常会話はできるけれど、学校の勉強で使う日本語に難しさを感じている子どもまで、さまざまな子どもたちでした。

働く前には気づかなかった難しさがあった一方で、子どもたちの成長を間近で見られることに、大きなやりがいも感じました。

今回は、小学校で日本語を教える仕事について、具体的な仕事内容や働くために知っておきたいこと、私が実際に働いて感じたことを紹介します。

目次

小中学校で日本語を教える仕事とは?

日本の小中学校には、日本語を母語としない子どもや、外国につながりのある子どもたちが在籍しています。

日本で生まれ育ち、日常会話には困らない子もいれば、海外から来日したばかりで、日本語をほとんど理解できない子もいます。

こうした子どもたちの中には、学校生活や教科学習を進めるために、日本語の指導を必要としている子どもがいます。

小学校で日本語を教える仕事は、そうした子どもたちが学校生活を送り、学習に参加できるよう、日本語の習得を支援する仕事です。

日本語だけでなく、学校生活や勉強に必要な言葉も教える

指導する内容は、子どもの日本語のレベルや年齢、学習上の課題によってちがいます。

例えば、日本語をほとんど話せない子どもには、あいさつや教室で使う言葉、先生の指示を理解するための表現などから教えることがあります。

一方、日常会話ができる子どもでも、教科書に出てくる言葉や、問題文の意味を理解することが難しい場合があります。

その場合は、国語や算数などの学習につながる日本語も必要です。

単に日本語で会話ができるようにするだけでなく、子どもが学校生活を送り、授業の内容を理解できるように支えることが大切なのです。

私が小中学校で担当した仕事内容

私が指導した子どもたちは、さまざまな国や地域につながりがあり、年齢も小学校入学前の5歳くらいから中学3年生までと幅広かったです。

指導は、子どもが在籍するクラスとは別の場所で日本語を学ぶ「取り出し指導」の形で行っていました。

個別に教えることもあれば、少人数のグループで指導することもありました。

子どもの日本語レベルに合わせて指導する

同じ学校に通っていても、子どもたちの日本語のレベルは一人ひとり違います。

日本語をほとんど話せない子もいれば、会話は流暢なのに、ひらがなが書けなかったり、文章を読むことが難しかったりする子もいました。

そのため、全員に同じ内容を教えるのではなく、その子が何を理解していて、何につまずいているのかを考えながら指導する必要がありました。

特に難しかったのは、子どもが何をわかっていないのかを見つけることです。

日本語で質問すると答えられるため、理解できていると思っていたことが、実際には十分に理解できていなかったということもありました。

反対に、会話が苦手でも、文字を読む力がある子もいます。

子どもの様子を見ながら、どこから教える必要があるのかを考えることが、私にとって大きな課題でした。

実際に働いて感じたこと①

一つが、日本語が話せても、勉強ができるとは限らないということです。

小学校で日本語を教えて、特に印象に残ったことがあります。

それは、日本語で会話ができることと、学校の勉強に必要な日本語を理解できることは違うということです。

例えば、日本で生まれ育ち、家庭でも学校でも日本語を使っている子どもがいました。

普段の会話を聞いていると、日本語で困っているようには見えません。

ところが、教科の勉強になると、文章の意味がわからなかったり、問題文に出てくる言葉を理解できなかったりすることがあります。

日常会話で使う言葉と、教科学習で使う言葉には違いがあるからです。

子どもが問題を解けないとき、単に勉強が苦手なのだと考えてしまうと、本当のつまずきを見逃してしまうかもしれません。

日本語の意味がわからないのか。文章を読むことが難しいのか。それとも、学習内容そのものが理解できていないのか。

原因によって、必要な支援は変わります。

私自身、子どもたちを指導する中で、目の前の問題だけでなく、その背景に何があるのかを考えることの大切さを学びました。

実際に働いて感じたこと②

二つ目は、子どもの気持ちは、日本語を通して少しずつ見えてくるということです。

今でも忘れられない子どもがいます。

小学6年生のときに海外から日本へ来た子で、翌年には中学校に進学する予定でした。

私は、その子に日本語を教えることになりました。

その子は、日本語の文章を読むことが難しく、会話もあまりできませんでした。

授業中もあまり笑わず、髪の毛で顔を隠すようにして、ずっとうつむいていたことを覚えています。

私自身も、「1年間でどこまでできるようになるだろう」とプレッシャーを感じていました。

それでも、毎週一緒に勉強し、学校行事などを経験していく中で、少しずつ変化がありました。

半年ほど経った頃から、日本語の作文を通して、その子の気持ちがわかるようになってきたのです。

「こんなことが楽しかったんだ」

「この行事が一番好きだったんだ」

日本語が十分に話せなかったときにはわからなかった、その子自身の気持ちを知ることができて、とてもうれしかったです。

もちろん、私がその子の気持ちをすべて理解できたわけではありません。

大人の側が「日本語ができないから、きっとつらいはずだ」と決めつけてしまうこともあるのかもしれません。

子どもたちは、日本語が十分にできなくても、自分なりに毎日を一生懸命生きています。

だからこそ、できないことばかりに目を向けるのではなく、その子が好きなことや得意なこと、楽しいと感じることも大切にしたいと思いました。

そして、将来、日本語がわからないことで不利益を受けることが少しでも減るように、自分にできることを精一杯やりたいと感じました。

小学校で日本語を教える仕事のやりがいと難しさ

実際に働いてみて、小中学校での日本語指導には、やりがいと難しさの両方があると感じました。

子どもの成長を身近で感じられる

子どもたちが少しずつ日本語を理解し、自分の気持ちを表現できるようになる姿を見ると、うれしくなります。

特に、言葉が十分にわからないために周囲に伝えられなかった気持ちが、日本語を学ぶことで少しずつ表現できるようになることには、大きな意味があると感じました。

日本語を教えることは、単に言葉を覚えてもらうことではありません。

子どもが周囲の人と関わり、自分の考えを伝え、学校生活に参加していくための土台を作ることにもつながっています。

一人ひとりに必要な指導が違うというむずかしさ

一方で、子どもたちの日本語のレベルや学習状況はさまざまです。

年齢や来日した時期、家庭で使う言語、これまで受けてきた教育などによっても、必要な支援は変わります。

そのため、決まった教材を順番に教えるだけでは対応できないこともあります。

また、日本語の指導だけで、すべての課題を解決できるわけではありません。

学校の先生などと連携しながら、子どもがどのような場面で困っているのかを把握することも重要です。

私にとっては、子どもの課題を見つけ、どのような指導が必要なのかを考えることが、難しくもあり、学びにもなりました。

小中学校で日本語を教えるには?必要な資格や働き方

小中学校で日本語を教えたい場合、まず知っておきたいのが、日本語指導を担当する仕事と、学校の教員として働く仕事は、必ずしも同じではないということです。

学校で日本語指導に関わる方法には、自治体などが募集する日本語指導員や支援員として働く方法のほか、教員として採用され、学校で日本語指導に関わる方法などがあります。

募集する自治体や職種によって、担当する業務や勤務条件、必要な資格・経験は異なります。

日本語教師の資格があれば働ける?

日本語教師の資格や日本語教育の経験が役立つ求人はありますが、それだけで、どの小中学校でも働けるとは限りません。

例えば、日本語指導員や支援員などの募集では、自治体ごとに応募条件が定められています。

日本語教育の経験を重視する場合もあれば、教員免許や特定の経験を求める場合もあります。

一方、教員として採用されて働く場合には、担当する校種や職種に応じた教員免許などの要件を確認する必要があります。

そのため、小中学校で日本語を教えたい場合は、まず自治体の教育委員会などの採用情報を調べ、自分の資格や経験で応募できる職種を確認することが大切です。

どこで求人を探せばいい?

求人を探すときは、次のような場所を確認するとよいでしょう。

  • 市区町村や都道府県の教育委員会のホームページ
  • 自治体の会計年度任用職員などの募集情報
  • 日本語指導員・日本語支援員などの求人
  • 学校での外国人児童生徒支援に関する募集情報
  • 自治体の各施設においてある日本語指導員募集のチラシ

検索するときは、「自治体名+日本語指導員」「自治体名+日本語支援員」「自治体名+外国人児童生徒支援」などのキーワードを使うと、関連する募集情報を探しやすくなります。

ただし、募集名称や制度は自治体によって異なります。

応募前には、最新の募集要項で資格、勤務日数、報酬、担当業務などを確認しましょう。

小中学校での日本語指導を経験して、教員を目指すようになった

私が小中学校で日本語を教えていたとき、もう一つ感じていたことがあります。

それは、子どもたちと関われる時間に限りがあることです。

私が担当した子どもたちは、一人ひとり指導できる回数や時間、範囲が決まっていたので、一定の条件が終了すれば、日本語指導も終了しなければなりませんでした。

「まだ一緒に勉強したいことがあるのにな」、そう思うことが何度もありました。

もちろん、教員になればすべての子どもに十分な時間をかけられるというわけではありません。

教員には授業以外にもさまざまな業務があります。

それでも、子どもが学校に在籍している間、日々の成長を見守りながら継続的に関われることに魅力を感じました。

この経験は、私が教員を目指すようになった大きなきっかけの一つです。

今は、子どもたちが日本語を学びながら学校生活を送り、自分の可能性を広げていけるような環境づくりに関わりたいと思っています。

まとめ|小中学校での日本語指導は、子どもの学校生活を支える仕事

小中学校で日本語を教える仕事は、日本語を母語としない子どもや、外国につながりのある子どもたちが、学校生活や教科学習に参加できるよう支援する仕事です。

実際に働いてみて、私は次のようなことを感じました。

  • 日本語で会話ができても、教科学習に必要な日本語が身についているとは限らない
  • 子ども一人ひとりの課題を把握し、それぞれに合った指導を考える必要がある
  • 日本語を通して、子どもが自分の気持ちを表現できるようになることにやりがいがある
  • 日本語指導の時間には限りがあり、学校全体で子どもを支えることの大切さを感じた

日本語教師の資格や経験を生かして、学校で日本語指導に関わる道もあります。

ただし、必要な資格や働き方は募集する自治体や職種によって異なるため、応募条件を確認することが大切です。

私自身、この仕事を経験したことで、子どもたちの成長を継続的に支えられる教員という仕事に魅力を感じるようになりました。

小中学校での日本語指導は、日本語を教えるだけでなく、子どもたちが日本の学校で自分らしく学び、生活していくための土台を支える仕事なのだと思います。

日本語教師として働く場所は、日本語学校だけではありません。

自分がどんな人を支えたいのか、どんな日本語教育に関わりたいのかを考えると、働き方の選択肢も広がっていくと思います。

日本語教師として働ける場所をもっと知りたい方へ、以下の記事も参考になればうれしいです。

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